テイエムオペラーが眠る、雄大な種牡馬施設
北海道新冠町――日高地方の海と山に囲まれたこの地は、古くから「サラブレッドのふるさと」として名を馳せてきました。その穏やかな自然の中に佇むのが、白馬牧場です。ここは、種牡馬たちがゆったりと暮らし、訪れる人々に感動とやすらぎを与える特別な牧場。競走馬や引退馬を愛する人にとって、まさに“心の聖地”といえる場所です。
白馬牧場は、種牡馬が繋養されている専用の牧場として知られています。現役を退いた名馬が、新しい命をつなぐためにここで暮らしています。種牡馬たちは、競走馬時代に数々のレースで輝かしい成績を残し、今は次世代にその才能を伝える大切な役割を担っています。
現在、牧場には9箇所の専用の放牧地があり、9頭+1頭の種牡馬が放牧されているとのこと。それぞれが穏やかな表情で草を食み、時には力強く駆け出す姿を見せてくれます。その姿からは、競走馬としての誇りと、いまをのびやかに生きる自由さが同時に感じられるでしょう。
白馬牧場の敷地内には、名馬を語るうえで欠かせない存在――JRA顕彰馬「テイエムオペラオー」のお墓があります。
テイエムオペラオーは、GⅠ7勝という前人未到の偉業を達成し、競馬史に名を刻んだ名馬です。しかし、2018年5月17日の放牧中に心臓まひで倒れ、同日に死亡。22歳没。当年も5頭の繁殖牝馬に種付け予定で、そのうち2頭への種付けを終えた矢先の出来事であったと伝えられています。
その知らせは多くのファンに衝撃を与えましたが、いまもお墓の前には花やメッセージが絶えません。牧場を訪れる人は、オペラオーが残した功績と、彼が愛された証を感じながら、静かに手を合わせています。
白馬牧場の魅力は、ただ名馬に会えることだけではありません。ここでは、馬たちが心穏やかに過ごせるよう、広大な放牧地ときめ細やかなケアが用意されています。
日高山脈を望み、爽やかな風が吹き抜ける放牧地で馬たちが草を食む光景は、訪れる人の心に深い癒しを与えます。競走馬や引退馬を応援するファンはもちろん、初めて牧場を訪れる人にとっても、この空間は特別な意味を持つでしょう。
白馬牧場は、名馬の歴史と命の営みを肌で感じられる数少ない場所です。競馬場で応援してきた馬が、種牡馬として第二の人生を穏やかに送っている姿を見られるのは、ファンにとってかけがえのない時間。
オペラオーのように、歴史に名を残した名馬がここに眠り、その仲間たちが次世代の命をつないでいく――その循環の中に立ち会えることは、競馬の奥深さと、馬と人との絆をあらためて教えてくれます。
競走馬や引退馬を応援している人にとって、この白馬牧場は単なる観光地ではなく、種牡馬の活躍を間近に感じ、ロケーションに癒される“やすらぎの場所”。新冠の美しい自然に包まれながら、名馬たちの息づかいを感じることができます。
見学時間:13:30~15:00
注意事項:見学希望の方は事前連絡必要(見学希望日の前日より当日(午前中)までに)